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《身近なホールのクラシック》令和6年度(2024年度)ラインナップに寄せて

2023 12/01


この度は、《身近なホールのクラシック》の次年度ラインナップに関心をお寄せくださりありがとうございます。地域住民の皆様と共に、箕面市立メイプルホールを拠点に展開する本シリーズ。次年度のテーマは「境界を越えて」です。ジャンルや編成を越えて、縦横無尽に躍動する音楽家たちの創造性にご注目ください。
テーマ設定にあたり、主に三つのことを考えました。一つ。既存の枠組みにとらわれず、新しさに挑戦する音楽家は魅力的だということ。特に、マルチな活動を実践する2人の音楽家、石上真由子さんと布施砂丘彦(さくひこ)さんに急接近してみたいと思います。二つ。ここでしか体験できない、こだわりのプログラムをご紹介したいということ。その想いが強すぎたのか、ブラームス・チクルスを除き、各公演の曲目が多すぎる事態に…。三つ。そもそも、楽譜に書かれた五線譜とは、境界(小節線)の連続であり、楽譜を再現するということは、その境界を越えることに他ならないのでは、ということ。つまり、本質的に音楽とは、境界を越えて存在していると言えるのかもしれません。
「境界を越えて」生まれた音楽の世界に、今を生きる私たちは何を見るのか。メイプルホールでの一期一会のライヴ体験が、皆様の記憶に残り続けるものとなる事を願っています。

「アンソニー・ロマニウク ソロ・リサイタル」
アンソニーは、「古楽器、現代楽器、電子楽器を操り、バロックから現代音楽、そしてポップスに至るまで、⾃⾝の即興演奏の才能を⽣かし、幅広い⾳楽スタイルを常に追求する『ジャンルフリー』の⾳楽家」です。ヴァイオリニストのコパチンスカヤとの共演(CD『Take Two』等)、フルート奏者の柴田俊幸さんとのデュオで、日本のクラシック・ファンからも注目を集めています。

「ブラームス交響曲全曲演奏会Vol.4ファイナル」
坂入健司郎さんがリードし大阪響と取り組む3年にわたるプロジェクトが、有終の美を飾ります。まさにゴールラインという、境界を越えることに。Vol.3(2023年10月27日)での指揮者とオーケストラの関係性の深化は特筆すべきものでした。積み重ねることの大切さ。そんな言葉を強く噛みしめています。

「室内楽12345!」
ブラームス・ファイナルではソリストを務める石上真由子さんに室内楽のプロデュースをお願いしました。彼女の類まれなる求心力と、ソロ、室内楽、オケと精力的に活動するエネルギーは眩しいほどの輝きを放っています。ソロ、デュオ、トリオ、カルテット、クインテット。この日のために集まった豪華メンバーが、入れ替わり立ち替わり登場する企画は、興味深々。本公演は《身近なホールのクラシック》初の試みとなる平日のマチネ公演です。

「いつ明けるともしれない夜また夜を」大阪ver.
2022年5月の東京都・北千住BUoYでの初演が大きな反響を呼んだ、布施砂丘彦さんの野心作を再演します。布施さんは、演奏、批評、企画、コントラバス及びヴィオローネ奏者の顔をもち、「箕面おんがく批評塾」では塾長を務めてくださっています。布施さんが本作品を構想したのは2021年5月。コロナ禍で思うように活動ができない当時の「なぜ音楽をするのか」、若き音楽家の自問する姿がそこにありました。3年を経ての再演、お見逃しなく。

「箕面おんがく批評塾 シーズン2」
今年度、好評だった布施砂丘彦さんの「批評塾」第2弾。実施会場は、引き続き、箕面の西の玄関口、箕面市立西南生涯学習センターです。本事業を通して、実演芸術への理解を深め、のちに鑑賞する際の糧となるような体験を提供します。併せて、インタラクティブな場の創出を目指し、音楽批評についても考えを深め、塾生自らが発信する力を養います。

生涯学習講座「とことんブルックナー」
この機会を逃すと二度とできない。やるなら今でしょ。と、勢いよく企画を進め、前代未聞のブルックナー講座が実現しました。講師には、音楽評論家であり、豊中市立文化芸術センター(メイプルホールとは同じ北摂地域に立地するお隣さま)総合館長を務める小味渕彦之さんをお迎えします。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。次年度も《身近なホールのクラシック》へのご愛顧のほど、何卒よろしくお願いいたします。皆様のご来場を心よりお待ちしております。
 
 
(公財)箕面市メイプル文化財団
芸術創造セクションマネージャー 和田大資

 

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